Small Photo Diary

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鑑賞メモ #1

東京国立博物館の常設展示にて、長谷川等伯《松林図屛風》(16C,東京国立博物館=所蔵)と、伝周文《四季山水図屏風》(15C,東京国立博物館=所蔵)。ほとんどこの二作品ばかりを行ったり来たりして見ていた。どちらも心底素晴らしく、屏風というメディアの面白さを再認識させてくれる。

長谷川等伯《松林図屏風》。六曲一双。ぞっとする、これはほとんどホラーだ。近づいて見ると、ストークはとても荒々しく、まるで事故の瞬間を見てしまったような気持ちになる。何かが「あらわれる」経験(!)をすると同時に、「あらわれる」ということが実に不自然な現象であることに気づかせる。殴るように引かれた墨が松として現れる瞬間、眼を背けたくなった。目の前を歩いていると、屏風の折れによって実際に木々は現れたり消えたりを繰り返し、遠近によって密度の違う画像が現れては消えていく。

・伝周文《四季山水図屏風》。六曲一双。これは両者に言えるが、とにかく安定したひとつの風景として現れないようにする工夫が随所に見られる。離れて見えなくなるもの(見えてくるもの)、近づいて見えなくなるもの(見えてくるもの)、屏風によって断ち切られるもの(生まれるもの)、そういったさまざまな要素(スケール)によって複雑で立体的な印象をもたらす、ひとつの装置。絵の近辺を歩き回っていると、無数の風景が重なって胸が気持ち悪くなるほどのリアリティが立ち上がる瞬間があった。